ぱーぷるわんこ

好きなものを好きなだけ。

唐突な別れに願いを込めて

仕事終わりにメールを見た。
SexyZoneファンクラブとジャニーズジュニア情報局のメールの次に、関ジャニ∞ファンクラブからのメールがあった。

「ファンの皆さまへお知らせ」

既視感があった。
怖かった。亮ちゃんのことを騒ぎ立てる記事が脳裏に浮かんだ。
Twitterを開いた。悲痛でポエミーなタイムラインに、亮ちゃん退所の文字が混ざっていた。

怖かった。すばるさんのときのあの会見がチラついた。動画を見ることができないまま、その動画に亮ちゃんがいないことを知った。
ああ、だから、ライブDVDがあんなに早くに出るんだ、とか。
ああ、だから、亮ちゃんが脱退を匂わせるような言動をひとつもしていないのに何度も記事が出続けたんだ、とか。
ああ、ライブが終わるまで、そして昨日のジャニーさんのお別れ会まで、待ってたんだ、とか。
無駄に冷静に、そんな状況証拠だけが、意識もしないのに駆け巡った。
すばるさんのときとは、正反対だった。

すばるさんのとき、直前に記事が出た。記事の内容は、後から思い返しても、すばるさんが辞めるというたった一点を除いてデタラメで、そんなデタラメな記事を私は笑い飛ばしていた。
メールを見たとき、すばるさんの退所を知ったとき、落差に頭がおかしくなるんじゃないかと思うぐらいの衝撃があった。何も考えられなかった。なんで?嘘でしょ?あの記事のどこに正解があったの?
信じる理由は何ひとつなかった。状況証拠も少しだってなかった。その代わり、7人の、(やすくんはいなかったけれど、気持ちとしては7人の、)会見があった。
退所の理由なんて、想像もつかないものだった。想像もつかなかったのに、知ってたことだった。
すばるさんの退所の理由は、今まで見てきたすばるさんそのものだった。ただただ、すばるさんは一度もブレず、全てをさらけ出してくれていて、それでも関ジャニ∞を切り捨てなければいけないのだと理解出来てしまった。

亮ちゃんの、退所について。何ヶ月も前から、いくつもいくつも、記事が出た。すばるさんがいなくなって、センターを引き継いで、関ジャニ∞を心から愛している錦戸亮がそこにいた。何ひとつ退所に繋がるものなんて想像させなかった。私の見てきた錦戸亮が、退所を選ぶ理由なんて全く見つからなかった。
なのに、すばるさんと違って、状況がこれは間違いないんだと言っていた。
亮ちゃんのレンジャー日記を思い出した。つい最近のライブレポを思い出した。
関係ないかもしれないのに、関係あるかもしれないと、思ってしまった。

動画を見た。5人しかいなかった。
やすくんちっちゃいなって思った。ひなちゃんもちっちゃいんだなって思った。7人のときは思わなかったのに。6人のときも、思わなかったのに。
大倉がたくさん喋っていた。大倉が未来の話をしてくれていた。きっと、亮ちゃんと同じく記事が出ていた大倉が、俺は残るよ、としっかり伝えてくれたのだなと思った。
5人は穏やかだった。無理にテンションを高くしていたのかもしれないけれど、それでも、5人は穏やかだった。あの会見のときみたいに、涙や感情でぐちゃぐちゃになった彼らはどこにもいなかった。

亮ちゃんのコメントを見た。
短かった。
亮ちゃんらしいなって、思った。思ってしまった。
すばるさんとは違う。亮ちゃんが退所する理由、何ひとつ想像できない。多分知らない。
亮ちゃんは、多くを語るようで、全く見せない人だ。
自分を飾らない人だ。自分に正直な人だ。誰かによく思われたいとか、誰かに嫌われたくないとか、そういうのが行動原理の最初には来ない人だ。
亮ちゃんには亮ちゃんの中のポリシーがあって、それを理解できない人がいることを知っている人だ。相容れない人とは分かり合えなくてもいいと思える人だ。
そんな亮ちゃんだからこそ、何も語らないのは当然に思えた。
亮ちゃんが本当に辞めたい気持ちなんて、多分、私は一生理解できない。すばるさんが辞めたい気持ちを知って、辞めなければすばるさんの夢は叶わないのだと理解して、それでも、何故辞めたかったのか今でも理解できないように。亮ちゃんが辞めたい理由は、きっと亮ちゃんだけのものだ。そして亮ちゃんは、それを誰かに理解してほしいとは、きっと思わない人だ。
亮ちゃんが説明しない人なんだとは思わない。大切な人に、言葉を尽くしてくれる人だと思う。メンバーに、ファンに、心を、言葉を尽くしてくれる人だ。
けれど、何故辞めたいのか、それはきっとひとつの理由なんかではなくて、たくさん、多くの出来事の積み重ねもきっとあって、少ない言葉で説明できるものなんかでもきっとなくて。
それなら、誤解される言葉を連ねるよりは、ただあっさりと、感謝と別れを伝えたい。私の思う錦戸亮は、そんな人だ。
すばるさんみたいに、納得なんて全くさせてくれないのに、理由なんてどこにも何ひとつ記載されていないのに、「亮ちゃんらしい」と思ってしまった。それだけで、私の負けだ。
亮ちゃんは亮ちゃんらしく去っていく。それなら、私はただ、見送るしかない。それがどんなにさみしくとも。

関ジャニ∞のコメントを読んだ。
長かった。
いつだってファンと向き合おうとしてくれる、彼ららしいなと思った。
やすくんの身体のことについて書かれていた。
「亮ちゃんが辞めるのはやすくんのせい」
そんなことを言いたいわけじゃないのは分かっていた。
違和感があったと同時に、ここであえてそれを書こうとするほど、やすくんの身体のことは、彼らにとって大きい出来事だったのだと、ようやく気付いた。
やすくんはすごくて、ファンの前では痛みなんて全く感じていないような顔をして。脳腫瘍なんて、もうすっかりなかったかのように笑う。ライブもやって、舞台も決まって。なんだ、思ったより悪いわけじゃないのかもしれない。そう思っていて。
けれど、そうじゃないんだ。
「全員がそれぞれの人生を改めて考える」こととなるくらい。
明日、死ぬかもしれないと、人生なんて短いかもしれないと、リアルに、彼らが感じるほどに。
すばるさんは去るときに言った。
「人生半分」と。
この短い人生で、すばるさんが残りの半分を自分のために使うと決意したように。
残りの人生を、何に使うのか。使いたいのか。誰かのためじゃなく、ファンのためでも、メンバーのためでもなく、自分のために、どうしたいのか。
きっと、全員が考えたんだろう。やすくんだけじゃなくて、亮ちゃんだけじゃなくて、全員が。
すばるさんのときは、「関ジャニ∞で居続けなければいけない」と思っていただろう6人がきっと、「関ジャニ∞ではない人生」という道があるのだと、気付いてしまった。
関ジャニ∞で居続ける人生と、関ジャニ∞でなくなる人生の選択肢があったとき、後者を選ぶことを誰が責められるだろう。
ジャニーズでいること、アイドルでいること、それによって得られるものはきっと多くあって。けれど、ジャニーズでいること、アイドルでいることが足枷になることはどれほど多いだろう。失うものは、失ってきたものは、どんなに大きいだろう。
ジャニーズであることで、許されない自由。ジャニーズであることで、認められない努力。何を言っても叩かれて、何をしても記事にされて。ジャニーズだから何でもできて当然なのに、ジャニーズだから何をしても一流にはなれない。
誰よりも器用で、誰よりも努力家で、誰よりも自分に正直で、誰よりもすばるさんの才能に憧れた、亮ちゃんがジャニーズを辞める道を選んだとして。それを、誰が責められるだろう。
亮ちゃんも、5人も、考えたんだろう。考えて、話し合って、関ジャニ∞でなくなる人生を選ぼうとする気持ちを、5人はきっと理解できるんだろう。
だから、すばるさんのときのように引き留めない。この日が来なければよかったと、言ってくれない。引き留めるべきではないと、少なくともファンの前で引き留めるような言動をすべきでないと、5人が考えているから。
各メンバーの思い描いている将来や価値観や方向性が、どう違っていたのか、きっと教えてはくれない。ファンと楽しみ続けることを選んだ5人が、それを壊すとは思えない。聞いたほうがよかったなんてことも、きっとない。
ただ、錦戸亮が、関ジャニ∞でなくなる人生を選んだ。ただそれだけが、痛いくらいの真実だ。

関ジャニ∞で居続ける人生と、関ジャニ∞でなくなる人生と。ふたつの道があったとして。亮ちゃんだけが、そちらの道を選んだことは、不思議とすとんと腑に落ちた。
いつだって、自分に忠実な人だ。誰かのための優しい嘘なんてつけない人だ。不器用なくらい真っ直ぐで、男気があって、好きなものを言い訳にしない人だ。関ジャニ∞を、言い訳にしない人だ。
その亮ちゃんが、もしも、関ジャニ∞を言い訳にしないといけないところにいるのなら。関ジャニ∞の中では、掴めない何かがあるのなら。関ジャニ∞でいる人生を後悔しないために、関ジャニ∞を辞めるのだろうと思った。
亮ちゃんが辞める理由なんて何ひとつ想像もつかなくて、それが音楽なのか演劇なのかそれともそれ以外の何かなのかも全然ひとつも分からなくて。それなのに、亮ちゃんらしいなあ、なんて思わせる亮ちゃんはズルい。なんにも教えてくれないのに、なんにも納得させてくれないのに、ただ結論だけ突きつけて颯爽と去っていく亮ちゃんはズルい。
けれど、そんな亮ちゃんだから好きだった。
毒舌でひねくれて恥ずかしがり屋で、そのくせ愛情深くて真っ直ぐでピュアで男気があって可愛くて、関ジャニ∞でよかった、と色んな雑誌で何度も零す、メンバーを愛してやまないあなただから好きだった。
これから亮ちゃんが歩んでいく道は1人で、もう傍に幼馴染のようなメンバーはいなくなるけれど。あなたの歩く道が、幸せなものであればいいと思う。

そして。関ジャニ∞で居続ける人生と、関ジャニ∞でなくなる人生と。ふたつの道があっただろうに。5人が関ジャニ∞を「続ける」と決めてくれたこと。なんて、切なく愛しく誇らしいことだろう。
外の仕事がありすぎるぐらいある村上さんが。身体が万全でないやすくんが。不器用で繊細なまるちゃんが。後輩の指導もして感じることも多いだろう横山さんと大倉さんが。
きっとこれまでみたいに、「関ジャニ∞で居続けなければならない」からではなく、「関ジャニ∞で居続けたい」と思って、続ける、を選択してくれたのだろう。
好きなアイドルが、アイドルでいてくれるのなんて、奇跡だ。
5人は、これからも奇跡をくれようとしている。
なんて幸せだろう。幸せすぎるくらいの幸せだ。

だから、すばるさんがいなくなってさみしいことも。亮ちゃんがいなくなってさみしいことも。高望みしすぎな私が、ただただ、誰を責めるでもなく、ただ、さみしいだけだ。
でも、ひとつだけ願うなら。頼むから、何十年か後でいいから。
イフオアのあのおじいちゃんみたいに、昔はアイドルやってんぞって言うようなヨボヨボのおじいちゃんになってからでいいから。
8人揃って、久しぶりやなあって言ってほしい。昔はこうやったなあ、楽しかったなあって言ってほしい。
そうなる日まで、誰ひとり欠けず、元気で、健康でいてほしい。
そんな勝手な願いを、いつか来る未来なんだって、信じさせてほしい。

亮ちゃんの入所した日に。あなたたちが、出会った日に。8人が、出会えたことに。感謝と願いを込めて。